2018年1月4日木曜日

マグニフィセント・セブン

 傑作西部劇「荒野の七人」をリメイクした「マグニフィセント・セブン」を見た。西部劇を見るのは久しぶりで楽しかった。原作である「荒野の七人」は大好きだし、ストーリー原作である「七人の侍」にいたっては個人的な邦画ベスト3に入るほど。
 ただし名作のリメイク、特に個人的思い入れの深い作品であればなおのこと採点は辛くなるし比べてしまいがちだが、話の流れやキャラクターのオマージュ程度に留め、別のお話しという割り切った作りになっているので比較されにくい。過去作のファンにも角が立たないという感じ。むしろ久しぶりの西部劇という感じで新鮮味を感じた。もちろん原作と比べるような名作ではないという但し書きは付きます。

 ユル・ブリンナー演じた7人のリーダーは黒人俳優エンゼル・ワシントン。以下メキシコ人や東洋人、インディアンなどが仲間に加わり白人一色でない点。7人を集める村人に夫を殺された若い未亡人など、人種やジェンダーに配慮した現代映画って感じ。最後まで生き残る白人がいないというのも徹底している。
 ガンマンはそれぞれ格好いいし、キャラもよく立っている。残念なのはもう少しエピソードを加えられなかったかという点。これは「荒野の七人」の方が上映時間が短いにも関わらず、ガンマン同士や農民との交流などエピソードが豊富に散りばめられていたからだ。

 「七人の侍」では壮絶な戦いの後、何事もなかったかのように米を植える農家を見やり「今回も負け戦だったな」と嘆く侍の孤独が描かれていて、根無し草のごとく死んでいった放浪侍の虚しさと大地に根を張る農民の力強さ生命力とが対比され、農民をただの守るべき弱いものとは見なしていない。
 対して今作は正義のために戦ったガンマンを称賛し、まるでテロや中東での戦争に出向いて死んでいったアメリカ兵に置き換えて讃えているかのように見えた。国の違いで物語の本質まで変わってしまうのだなと感慨深くある。

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