2016年9月30日金曜日

ロメロゾンビ 六部作+三作

 ふと思い立ってロメロのゾンビ映画のDVDを集めることにした。ロメロゾンビは3部作+新3部作の計6作。これにリメイク版が3本あるので、全部で9作品ということとなる。

ナイトオブザリビングデッド
 記念すべきロメロゾンビの第一作。モノクロ映画でいかにも古いという感じ。ただしロメロゾンビ独特のストーリーはこの作品から確立されている。つまりゾンビが主役なのではなく、その状況におかれた人間模様が主題ということ。
 せっかく助かったはずの黒人主人公がゾンビと間違えられて射殺されてしまうアンハッピーエンドも良い。

ナイトオブザリビングデッド 死霊創世記
 盟友トムサビーニを監督に据えたリメイク版。元作は版権取得の手違いで著作権放棄作品となっていることから、きちんと作り直そうということで持ち上がった企画らしい。
 そのためか基本的なストーリーは原作に忠実だが、途中から新しいエピソードが加わるという感じ。また無理に作った感じもせず上手く作り直されている。前作では精神に異常を来したのか、ただ叫んでいるだけのバーバラを膨らませ、戦うヒロインに位置付けたのは時代の違いもあるか。
 原作はモノクロだし、どうしても古さが目立つので、こっちを見ればいいのかな。

ゾンビ
 個人的にはゾンビ映画のベスト。何度観ても飽きずに観てしまう。それはゾンビはただの設定であり世界観でしかなく、テーマは人間ドラマにあるからなのだろう。壁ひとつ外ではまさに地獄絵図だが、閉鎖されたストア内では欲望のままをふるうことが出来るとか、実際自分がこの状況に追い込まれたらどうしようかと思わせるところがうまい。

ドーンオブザデッド
 ザックスナイダー監督によってリボーンされた一作。巨大モールに立て籠もった面々のお話しという点では一緒だが、ストーリーはかなり異なる。
 やはり走り回るゾンビというのが最大の違いで、これがあるために原作のような、立て籠もっていれば大丈夫だろうとか、崩れた穴が徐々に広がっていきやがて崩壊してしまうといった無常観は感じられず、映画の世界に入り込む余地がない。
 立て籠もる人数が増えたことで個性が見えなくなり、かつ馬鹿な行動をする者が多すぎて感情移入もできない。
 駄作の多いゾンビ映画というジャンルにおいては、エクストリームアクションゾンビと割り切って楽しむことはできる。

死霊のえじき
 ロメロゾンビ三部作の最終話。すでに世界はゾンビに制圧されている感があり、地下基地に立て籠もる主人公たちの閉塞感が映画全体を覆う。何をやっても希望がない。
 新たなコンセプトとしてバブというゾンビが登場。ゾンビとコミュニケーションをとるというエピソードが入った。これを良しとするかどうか。個人的には好かない。やはりコミュニケーションのとれない得体のしれない化け物としてのゾンビの方が怖いからだ。
 最期のグロシーンは見ていて不快感の極み。救いのない映画だが、だからこそゾンビ映画だという観方に立ち返れば、この終末感ただよう映画は一つの金字塔というか到達点なのかもしれない。

デイオブザデッド
 名前だけ借りたB級ゾンビ映画。ゾンビはドーンオブザデッド同様走り回るタイプ。
 ヒロインの女性軍人がわりと可愛いくらいで特筆することろのない作品だなあ。

ランドオブザデッド
 ゾンビ映画が人気となったからか、20年ぶりにロメロ監督が撮ったゾンビ映画。ユニバーサルが配給。デニスホッパーなど有名俳優出演。潤沢な製作費。しかしロメロゾンビの暗さ、終末感は薄らいでしまったか。ゾンビ映画というよりはアクション映画ぽい。
 高層ビルに住む富裕層とスラムと化した貧民層という舞台だが、その対比はあまり描かれることなく、装甲車を奪い返すというストーリーがメインで進む。ラストのゾンビ大行進も富裕層だけが襲われるわけでなく、貧民層も同じように襲われてしまい、勧善懲悪な感じや皮肉めいた場面でもないのが残念。
 またふいにゾンビが現れて噛まれるというシーンが多すぎて、すぐに噛まれない厚手の服を着るとか何とかすればいいのに、なんて突っ込み入れてしまいたくなるくらい。

ダイアリーオブザデッド
 POV手法を取り入れたのは良し悪し。臨場感はあるけれど、ストーリーが良いのだからきちんと撮影した方が落ち着いた映画になったんじゃないかと感じる。
 ただし映画の中でもふれられる通り、誰でも手軽に情報を発信できる世界に対するテーゼなので、フェイクドキュメンタリーという手法なしでは成り立たなかったのか。
 逃避行を続ける学生たちが、様々な場所でいろんな出来事に遭遇するという放浪ものとなっているが、見せ場が散らばってしまった感はある。特にラストの邸宅に辿り着いたあとは時間の都合かゾンビの中を生き延びたとは思えない杜撰な行動ばかりなのが残念。
 溢れるほどのゾンビの大群というシーンがないからか、暗さや終末感も薄く、なんか淡々とした映画である。いろいろ残念だったな。

サバイバルオブザデッド
 現在の所、ロメロゾンビの最終作。前作の兵隊が主人公ということで、明確な続編となっているが、これはフレーバー要素的なもの。
 もはや三部作の時のような閉塞感はなく、ゾンビの存在も認知されているというか怖さもあまりないのが残念。主人公たち一行が向かう島ではゾンビを飼い慣らそうとする保安官一派がおり、この辺もゾンビの恐怖を薄めている原因なのだろう。


 ゾンビ映画はそれこそピンキリで、面白いと思わせるものは少ない。そんな中、人間ドラマを物語の中心に据え付け、ゾンビはあくまでも世界設定の一部とするロメロゾンビ映画は見応えがある。
 ゾンビに限らず、化け物の登場するホラーは、その存在が中心となり、これに対してどう生き延びるかがテーマになってしまう。しかしロメロはそこに生きる人間たちが何を考えてどう行動するかがテーマとなっているため飽きずに観ることができるのだろう。

ジュラシックワールド


 ジュラシックワールドを観たのだが、期待に反してあまり面白くなかった。昨年上映されたときは割と評判良かった気がしたのだが。

 ストーリーはジュラシックパークとほぼ同様な感じ。20年を経て新しく立ち上がったジュラシックワールドなのに中身に違いはあまりない。CGがもはや当たり前となって、恐竜を見せることで感動させるのが難しくなったことはわかるが、いわゆる見せる恐竜がモササウロスだけっていうのはさみしいね。
 経営者が中途半端な悪人で、その役割をインジェン社の別のスタッフが担うわけだが、これもありきたりな商魂主義を薄らごうとしているだけにしか見えない。

 また主人公兄弟の両親が離婚するという話、中華系科学者の話などが伏線だけで回収されることなく終始し、だったらそのエピソードいらないじゃんと思ってしまった。
 同様に飼い慣らされたラプトルが、最初はハイブリットレックスと会話して人間に牙を剥くようになったはずなのに、最後には身を挺して人間を守る側にまわる。きっかけも何も分からない。まさか銃を置いたから?
 そもそもハイブリットレックスはいろんな動物のDNAを掛け合わせたから能力や知性が向上したという設定で、偽恐竜などと言われる。しかし元々ジュラシックパークの恐竜ってDNAが欠損している部分を既存のカエルや何かの近い種から取り込んで作ったという設定じゃなかったか?
 檻を抜けだして闘争本能のままに殺戮をしていくハイブリットレックスの登場場面も、まるでミニゴジラ風で面白くないし。これ本当に恐竜なの?という感じ。

 総じて何年振りかで作られた続編という割には期待外れというか、何を見せたくて作ったのだか分からなかった。恐竜の島に主人公が訪れ、管理から外れた恐竜が暴走する、といったストーリーでは新鮮味がなさすぎる。

2016年9月26日月曜日

REC


 先日ゾンビ祭りと称して、ロメロゾンビ映画6部作+3の鑑賞をしたのだが、その際「ダイヤリーオブザデッド」を観た影響からか、POV映画をもっと観たくなった。
 同ジャンルの映画で最も高い評価を得ている「クローバーフィールド」に続き、「REC」を観た。「REC」は好きな映画で何度か見ており、続編の「REC2」リメイク版の「RECクアンティアラン」「同2」も鑑賞済みだが、調べると「REC3」「REC4」とシリーズが続いていた。これはせっかくだからとシリーズコンプリートしてみることにした。

 「REC」はPOV手法を効果的に取り入れた映画で、低予算の関係からかマンションの中だけで話が進むが、逆に臨場感を上げることに成功している。ラストはオカルトめいた展開となり続編への期待が高まるが、「REC2」では真相に迫ることなく終始してしまった感じがある。
 リメイク版の「クアンティアラン2」は舞台を変え、飛行場に閉じ込められた人々となっているが、POV手法はほとんど取られることなくただの退屈なゾンビ映画。本編第三部も似た感じで、披露宴会場で起こった悲劇をスプラッターホラー染みた演出で描くというありきたりな内容。途中コミカルな演出を入れてみたり、花嫁が無双を始めるなど、80年代のゾンビ映画を思い起こさせるあたりはクスリとしたが、「REC」の続編としてはちょっと飛躍しすぎたか。

 このまま「1」からの話は広がることなく「4」になるのかと思いきや、ヒロインのアンヘラ再登場で、「2」から続く物語となっていて期待が高まる。
 舞台は船の中。ダイ・ハード3のシナリオにも使われるかもしれないなんて言われたくらい船内というのは閉鎖空間としては極上の舞台。ゾンビが出てくるということで「バイオハザードリベレーション」も思い出してしまった。
 悪魔の復活というオカルトと、ウィルスによる伝染という昨今のゾンビ映画のいいとこどりをした設定で、加えて憑りつかれたアンヘラの結末なんてシリーズファンもハラハラするようなミステリーも加わっており楽しめた。
 1時間30分程度の短い上映時間だが、前半の状況説明にて若干退屈するものの、コックが発症してからは息をつかせぬ展開なのもよい。監視カメラの映像を使うことで、若干POV映画手法をオマージュしているものの、基本は普通の撮影方法。これに賛否はあるのかもしれないが、ストーリーが割と面白かったので自分は良しとしたい。

2016年9月10日土曜日

CBR400R 国道411号線


 8月は仕事の都合もあり、週末はなかなかバイクに乗れなかった。もっとも盛夏にバイクは過酷なので、あまり遠出しようとも思えず、代わりに休んだ平日は天候不順が続いたこともあった。明日からはまた雨が続くとのこと。本日は休み。久しぶりのツーリングに出掛けた。
 行先は漠然としていたが、八王子から甲府へと抜ける国道411号線が気になっていたので、ロングツーリングになるが行ってみることにした。付近を走る国道20号線は中央高速の下道ということもあり渋滞のイメージ。411号線はこのバイパスにあたるのだろうが、通行量はどんなものだろうか。

 朝早くに出発しようと思っていたが、体は疲れていたのに前日なかなか寝付けず、起きたのは8時を回ってしまった。ツーリング取り止め?なんて思いもよぎったが、頑張って布団から跳ね起きる。
 9時出発。まずは御殿場方面へ向かう。いつもであれば246号線にて御殿場へ出るのだが、久しぶりに足柄峠経由で行くことにした。半年前に足柄万葉公園までは来たが、そのまま峠を下るのは何年振りか。それでも急カーブの感じやその風景は記憶に残っており、懐かしい気持ちで駆け抜けた。


 昔の記憶では246に合流するはずだったが、足柄街道をそのまま走って行くと、138号線の御殿場市役所付近へ出てしまった。それでも特に問題はないので富士山方面へ北上。富士スカイラインを目指す。246に入ったところで道を一本間違えてしまい、山中湖を抜けて行こうかと迷うが、予定通り富士山の南側を回ることにする。138号線から山中湖方面は案の定混雑していたからだ。
 自衛隊駐屯基地を端に見やりつつ、一路富士山スカイラインへ。道中の看板には「マイカー規制、79日から911日」とある。ちょうど明日まではシャトルバス以外通れないとのこと。しかし富士宮方面へ抜けて行く道が全線ストップということは考えられないし、考えたくないこともあったのでそのまま突き進む。
 予想通り進むことが出来、どうやらシャトルバスのみ通行可能というのは、富士宮登山口方面へ向かう道のようだった。
 富士山スカイラインは前回同様交通量はほとんどなく、快適なツーリングが出来た。富士宮にて国道139号線に合流北上。朝霧高原を抜けて本栖湖、精進湖へ。この辺は何度も通った道である。

 さて精進湖から新たなルート。国道358号線を進んで甲府を目指すことに。時間はもうお昼。だんだん暑くなってきた。
 マップで見る感じは狭い山間の道という雰囲気だったが、意外と広めの整備された道で、精進ブルーラインとある。自分以外車はいないだろうなんて思っていたが、ブヒブヒ煩いハーレー2台が前方に陣取り、これと自分を挟んで車が数台と意外。これは走ってみてわかったのだが、この道は中央高速の甲府南ICにつながる抜け道になっているため。ハーレー2台を含めた多くの車がインターチェンジへと入って行った。
 自分はそのまま北上を続け、ついに甲府へ到着した。山梨県の県庁所在地という割には人通りもまばらで渋滞もなく、何か寂しい感じ。お腹はまったく減っていないので道の確認がてらコンビニへ寄り、アイスコーヒーだけ飲む。
 ついに目的地である国道411号線到着。時刻はなんと午後1時。着いてみたときは甲府は近いものだな、などと思ったが4時間も走っていたとは。ここから八王子はまだまだ長い距離がある。頑張ろう。

 さすがに幹線道路ということもあり、信号が多く道は混み気味。笛吹を超えたあたりからは「ぶどう狩り」の旗が立ち並ぶ。観光バスもちらほら走っており、国道411号線ツーリングは失敗だったかなと後悔気味。ずっとことままだったら疲れるだけだな、と思っていると塩山を抜けて甲州市に入ったあたりで車が一気に減る。道は山へ。
 道沿いの看板によれば大菩薩ラインとある。峡谷を走り抜けていく完全な峠道。沿道沿いにはお店どころか民家すらない。そんな道だから車はほとんど走っておらず、時折対向車やバイクが通り過ぎて行くだけ。道は広く、カーブも緩やかで走りやすい。前言撤回。来て良かったと思える瞬間。
 しかし奥多摩まで30km、八王子まで90kmという看板を見て萎える。現在時刻は午後2時手前。八王子に到着するのが5時頃。自宅に着くのは7時ということか。

 かっ飛ばしながらの楽しい峠道も、道の駅「たばやま」を超えた辺りで車列にぶつかり始める。何台かは道を避けて前へ出してくれたのだが、青のスイフトスポーツがどいてくれない。無理に抜くという手もあるのだが、スイフト「スポーツ」に乗っている若者というのが曲者。気を利かせて避けてくれそうに思えず。
 八王子への到着時刻やら体の疲れやらを考えると、このまま車列の後ろをのんびり走っていくという選択肢はとれず、国道411号線制覇は途中で断念。奥多摩湖から周遊道路経由で南下に計画変更。


 疲れた体と言いながら、奥多摩周遊道路ではまたまたかっ飛ばしてしまう。登り区間が多めということもありカーブが曲がり易かったことも原因。しかし途中でミニパトと遭遇。しかも自分の目の前に割り込まれてしまうという不運。そこからはおとなしく走ることにした。
 ミニパトから距離を置くために都民の森にて休憩。警察が一杯出ている。土曜日ということもあり、検問でもしてたのかなと思っていたが、救急車や消防車、回送トラックなどが軒を連ねているのが不穏。
 すぐそばでは警官一人が二人の若者ドライバーらしきに事情聴取している。ああ、これは事故でもあったなという感じ。先ほどのミニパトも通報で駆け付けた応援部隊なのだろう。一服だけして退散したのだが、少し前に休憩場を出て行った救急車の後ろについてしまう不運。抜くに抜けないし、救急車が事故を起こすわけにはいかないからだろうが、すっごく遅い。
 ようやくセンターラインが白線となる広めの箇所で抜いたのだが疲れが倍増。しかも事故は嫌だなという気持ちが芽生えてしまい、引きずられることに。国道33号線からあきる野へ出て圏央道に乗ろうと考えていたのに、看板を見間違えて、というか書き方がおかしいのだが反対方向へ行ってしまった。再び「山梨県」の看板を見たときは疲れがドッと来た。

 こうして事件が発生する。集中力を欠いたのかカーブでセンターをはみ出ること度々。フロントブレーキを握りすぎてしまい、カーブで車体を寝かせられないという悪い癖が出始める。スクーターに乗り過ぎなのが原因か。
 気を取り直して「本当、フロント握り過ぎると曲がんないなー」なんて自分に言い聞かせようと努力するが、下り坂で自然とスピードも出る中うまく曲がれない。何度かヒヤっとしているうちに恐怖心が芽生えてきて、ついに緩やかな下りの右カーブで曲がり切れず、ガードレールにあわや接触。なんとか衝突だけは避けられたものの路肩の砂に乗っかったこともあってかバランスを崩して転倒。スピードは出ていなかったので車体をゆっくり倒しながら、挟まれることなく逃げられたが、ガードレールと左ミラーがぶつかって根元から折れてしまった。
 バイクが転倒した瞬間は大事故。ついにやってしまったと思ったが、ミラー以外はステップとクラッチレバーの端が少し傷ついた程度でほかは無傷だったのは幸い。自分もバイクを乗り捨てる形で逃げられたので傷どころか打ち身ひとつないという不幸中の幸い。
 思い起こせば朝9時に出発してコンビニに立ち寄ったりしつつ5分、10分程度の休憩はしたもののほとんど走り詰め。楽しいとはいえ荷重移動させるには足腰を使わなければならないし、前傾姿勢のきついバイクだから上半身もガチガチに疲れていた。
 気持ちよくコーナーリングしていた時は気づかなかったが、体は正直疲れ果てていたのだろう。これまでもあまりのんびり休憩はとらずに来たが、時間ばかり気にせず。もっと余裕をもったスケジュールを立てなければならない。

 左ミラーなので走行にはあまり問題なかろうと思ったが、案外後方確認に使っているようで不便。しかし根元から折れてしまったので補修のしようがないし、仕方ないのでそのまま帰ること。不整備車両で高速に乗るのは怖いが、下道を通って帰るだけの気力はなくなっていた。
 33号線から20号線へ。圏央道八王子あたりが混雑しているようなので、相模湖を抜けて412号線へ。津久井方面へ向かって相模原ICを使用。圏央道~小田原厚木道路~帰宅。高速はやっぱり楽だし速い。もっともずっと左車線を走ったけどね。