2021年3月14日日曜日

セガ家庭用ゲーム機 開発秘史

 セガのハード開発を担当し社長にまでなった佐藤秀樹氏の著作。セガのハード販売黎明期からドリームキャストを経てソフトハウスへとなるまでが、現場の生の声として伝えられていて興味深い。

 自分にとってセガと言えば、まず体感3Dゲームシリーズ。アウトラン、アフターバーナーが遊びたくてマスターシステム(マークIII)が欲しかったし、メガドライブに夢を見た。しかし出てくるソフトは駄作が多く、著者に言わせればやはりアーケード主体のメーカーだからコンシューマーには有能なスタッフ、お金が掛けられなかったという。
 まったくユーザーに対する裏切りでしかないなと感じてしまう。当時のセガファン。セガが任天堂に勝つことを夢見ていた人たちがこれを知っていたらどう思ったか。それでいてBEEP!などの専門誌では「セガはやります。本気です」くらいのことを言っていたのだから。

 次にドリームキャストで発売された、スペースチャンネル5、ジェットセットラジオ、ファンタシースターオンラインなどの独自ジャンル。セガらしい都会の感性を感じられたものだ。しかし著作のなかでこうした光るソフトに関する言及は何一つない。唯一アメリカでのシェアを伸ばしたソニックとドリキャスにつんだブラウザ絡みの話しだけ。
 ソフトに対する思い入れがないのだから、面白いソフトも出るはずないわな。

 結局彼はハード屋であり、セガというアーケード機軸メーカーの考えに囚われていたのだろうと思う。打倒任天堂、ソニーと言ってもそれは打ち替わって天下を獲るとまでは行かない煮え切らないもの。決算の数値的に黒字が出ていればそれで充分という程度の。だからこそ海外版メガドライブ(ジェネシス)がシェアを伸ばしてもその後へ続けることが出来ず、サターンではコスト問題で本体の台数を伸ばせず、ドリームキャストにて迷走するはめになった。
 トップがこれなのだから後は推して知るべし。

 任天堂もいろいろ大変な時代を乗り越えてここまでやってこれたのは、ハードと同様にソフトを重視してきたからだろう。ゲーム&ウォッチ、ファミコン、ゲームボーイと新ハード発売に関して伝説的な逸話が述べられるが、それと同時に何を遊ばせるか、どうやって遊ばせるかについて十分考えられていると思える。
 1回5分100円で商売していくアーケード屋と買ってもらったものをどれだけ遊んでもらえるかの花札・トランプ屋との違い。

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