2020年12月20日日曜日

クローバーフィールド パラドックス

 映画「クローバーフィールド」シリーズは、ネットでの動画配信などを駆使したモキュメンタリー手法で話題となった第一作。続編ながら第一作とほとんどつながりがない所か、モンスターパニックから密室スリラーへとジャンルを変えた第二作と、次はどんな作品になるのだろうと興味深かった。
 そうして製作された第三作が「同 パラドックス」。劇場公開はされず、Netflixでの限定公開となったので観ることが出来なかったが、ブルーレイで発売され、価格も1000円とめちゃ安だったので、映画館へ足を運んだつもりで購入した。
 第一作、第二作と驚きの映画だったので、今回はどんなお話しになるか期待していた。

 今作はまたジャンルが変わりSFとなった。題名にある「クローバーフィールド」について明かされ、それは資源の枯渇から回避するためにつくられた機械のこと。これが起動失敗して他次元と混ざり合ってしまい、第一作にあらわれたような怪物を呼び寄せてしまう。
 シリーズの謎を回収するため、冒頭でクローバーフィールドの危険性が訴えられ、他次元や時間軸を越えた影響を及ぼしかねないと学者が論じる。あとは予定通り事故が起き、予定通りスタッフが一人また一人と犠牲になるという筋書き。これがまあつまらない。展開に驚きがない。
 主人公は自らのミスで子供を失い、別次元で子供と再開しようとするが、なんちゃって科学モノだから現実味を感じ取れず、コンタクトやインターステラーのような感動には至らない。むしろとってつけたような感じで蛇足感もいい所。ちょいちょい出てくる地球のお話しは予算がないことが丸わかりな上、ストーリー上必要に感じられない。最後のオチも完全に予想がついて驚けない。
 「クローバーフィールド」シリーズとしての期待は外れた。

 第一作がモキュメンタリー手法を取ったことで、まるで現実のようなリアルさ、もしゴジラが現れたらこんな感じなのかもと想像できた。同様に第二作は先の読めないスリラーとして面白かったし、最後の最後までシリーズ物であることをあえて触れないというのが良かった。
 対して今作はあまりにも稚拙。SF設定はどっかで読んだことがありそうなレベルの発想でリアル感がまったくないし、鼻から続編です、伏線回収します、的なつくりにしてはオチにひねりがない。
 勝手に動き出した手が、何故ジャイロの在処を知っているのか。未来の事故で過去に怪物が現れることは百歩譲ったとしても、何故クローバーフィールドという名前でビデオが作られたのか。など、細かな設定の杜撰さも垣間見れて乗り切れない。

 来年第四作が公開されるとのことだが、期待が落ちてしまった。

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