2011年3月30日水曜日

1408号室

 少し前の作品になるが、1408号室を見た。ホラー映画。
 以前劇場で何かの映画を観に行った際に予告編が流れており、観に行こうと思っていながら、行きそびれたことを覚えている。
 見終わって調べてみると原作スティーブン・キングで、なるほどなぁと思った。よくあるキングのホラー映画という作品だったので。

 幽霊の出るホテルを回り、その体験談を出版している作家が主人公。過去、娘を失ったことがあるというストーリーが出てきた時点で、どうせお化けに驚かされて、娘が助けにくるとか娘に責められるとかなんだろ、と思ったら予想通りだった。まぁお約束なんですけど、ちょっと陳腐ですよねぇ。

 ホテルの一室に籠もった作家が少しづつ狂気にさいなまれるくだりは、キングのシャイニングを思い起こされる設定。キューブリックによる映画版では、作家が狂っていく辺りが滑稽に描かれているのに対し、今作では真面目に狂っていく。
 また浮浪者のような何者かに襲われるシーンが何度かあるが、浮浪者の実在感がありすぎて悪夢に思えず、本当に誰かに襲われているだけにしか見えない。
 デビット・リンチあたりが演出したら、この世かあの世か分らない何かに襲われるような、そんな恐怖シーンになっただろうが、今作ではただのアクションシーンで残念。
 部屋中の様々なものが妄想となって作家をさいなむあたりは、やはりこの人サム・ライミに死霊のはらわたばりの演出をさせれば恐がれたかも。
 最近主流のリアルなスプラッタシーンもなく、本格的に恐がらせようという作品ではないみたい。

 何度か脅かされた後、作家が正気に戻ると、ルームサービスからコール。
 部屋から出たいが出ることのできない作家に対し、「特別なチェックアウトシステムがあります」との申し出。そこには首つり用の縄が垂れ下がっている・・・というのはいい演出だなぁと思った。この脅かされては正気に戻る、というのを何度も繰り返したらよかったかも。

 途中で「夢オチ?」と思わせつつ、実は悪夢が続くというシーンもあるのだが、いかにも現実に戻ってないよ、と観客が分ってしまうような撮り方なのでインパクトがない。
 ラストでテープに死んだはずの娘の声が録音されているというオチはいいのだが、主人公がホテルでの体験を自覚しているので驚きが感じられなかった。
 一緒にいた妻がその声を聞いて驚いていたが、ホテルでの一件についてそれが現実か否か、夫婦でやりとりするという場面がないのが原因。あの悪夢が現実だったのか妄想だったのか?と作家にも疑わせたあとに、やっぱり現実でした!という展開のが良かったんじゃないかなぁ。あるいは作家のいない所で妻がテープを聞き、そこで何が起こったかを知るとか。

 そういった既視感を感じる背景、消化不良感含めて、キング原作のホラー映画だった。本格的ホラーではなくてエンターテイメントホラーと言うか、家族で見ても安心なホラーだった。

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