今年のゴールデンウィークは島根に行ってきた。ツーリング先候補として、
①東北…先日のスイッチ2体験会後そのまま北上
②新潟…新潟~酒田、笹川流れがポイント
③四国…内陸部を走る、四国カルスト
④島根…熊野大社をはじめ神社を周る
と考えた結果、①②は去年と似た感じになってしまうので③④で検討。運良く安宿が見つかった④にて決定。神話の郷「島根」を満喫する旅となった。
一日目 ------------------------------------------------------
目的地の米子まで8時間、700km近い道程。よくよく考えれば目眩のする距離だ。昼過ぎには着いて蒜山・大山を走りたいと思い、深夜割引の適用されるAM4:00前に東名に乗る。あとはひたすら走り続ける。
大井松田IC~鮎沢PA(荷物整理)~浜松SA(給油)~鈴鹿PA(トイレ)~土山SA(給油)~社PA(トイレ)~揖保川PA(休憩:眠い)~勝央SA(給油、昼食:レトルト感半端ないジャンボカツカレー。ご飯は超大盛り)~湯原IC(12:20到着、623km)。
道中は思いの外寒く、トレーナー+もこもこパーカーを着込んで正解だった。
湯原ICからはR313を通り蒜山の高原ライン~鬼女台展望台。晴天の下、一部雪の残った大山が綺麗。三度目の来訪にて念願の大山一周を敢行する。北側は山麓の方を通って一部は狭い林道となっていた。大雨後は通行止めになるのもわかる。北部にある屏風岩が屹立した船上山が奇観だった。
大山一周後してまだ午後三時過ぎ。もう少し足を伸ばそうかと考えたが、かなりの距離を走ってきているし休息も必要ということで宿へ。夕食朝食つきで4,500円と格安の宿だったが、駐輪スペースがなかったのは残念。
初日の走行距離は760.3km。
二日目 ------------------------------------------------------
本日は西から低気圧が接近。九州地方は大雨。何の偶然か中国地方は今夜通過の予報となっており丁度雨をかわすことが出来る。これも神様の思し召しだろうか。神様の思し召しと言えばツーリング中にタヌキ(ツチグマ?)、キジ、カモメ(超接近)、白鷺の舞に遭遇。吉祥であった。
出立後、米子空港を経て境港を東へ。美保関に向かう。灯台と美保神社の参拝。
後、江島大橋を通り松江へ。宍道湖北岸を走って一畑口を北に曲がり島根半島を横断。時間的に厳しいスケジュールとなったが小伊津海岸の洗濯岩(岸の洗濯岩より屹立する屏風岩に驚愕した)、猪目洞窟(深淵へ誘う黄泉の縁。夢に出たら死ぬというエピソード)などの奇観を見物出来て感動。来て良かった。
島根半島横断に4時間近く掛けて、お昼すぎにようやく日御碕へ。日沈みの宮。
稲佐の浜を経由し、今回の旅における目的のひとつ出雲大社を再訪。前回訪問時は知識がなくて見どころを良く分かっていなかった。拝殿脇に掛けられた絵馬が風にゆられてカラカラッと音を立てる。幽玄の世界に取り込まれた。歴史博物館がリニューアル中で代わりに宝物館を見学。赤い手箱に「有」と書かれているのは出雲大社の神紋とのこと。
出雲大社を離れたのが16時過ぎ。今日訪問予定だった神社はあと二つ。さすがに全て周るのは難しく神魂神社だけ参拝した。神域への境界を醸し出す石畳と急な石階段。古の出雲大社復元図では長大なスロープがついているが、実際はこれくらい急だったのではないか。日本最古の大社造りとされる本殿は歴史の趣を感じさせる。
宿舎到着は19時過ぎ。見どころ満載の一日。走行距離233.4km。
三日目 ------------------------------------------------------
大雨の通過を待ち9:30に出発。駐輪場がホテルから遠かったのが残念だった。まずは伊邪那岐の神話に出てくる黄泉の国との境である黄泉比良坂へ。安来と松江の中間地点に位置し、国道を少し入っただけの場所ながら、何とも言えない雰囲気。池からはカエルの鳴く声。少し山道を歩いてみたが終焉までは行けなかった。そばの揖夜神社にも立ち寄る。
次の訪問地は熊野大社。今回の旅の目的。熊野大社と言えば三重の熊野三山が有名だが、名前こそ同じの別物。出雲大社と並んで出雲一宮に叙されるなど格式の高い神社。橋を渡って境内に入るあたりは宇佐神宮を思い出す。思ったより狭い境内だが立派な拝殿には注連縄が掛けられている。
せっかくここまで来たので、今回の旅を占っておみくじを引けば「大吉」。昨日の吉祥や大雨など、この旅路は出雲の神様から誘われていたのだろう。
次の訪問地は須我神社。素戔嗚尊が八岐之大蛇を退治した後に建てられたとされる。切り立った丘の上に境内。そのまま山を歩くと本殿があるそうだが、そこまで行く時間は取れず。
お次はしばらく山道を走る。昨日から「神仏の通ひ路」という看板を見掛け、調べると出雲の神仏霊場を周回するルートとなっていた。偶然と似たようなルートを走っていた為、看板をよく見掛けたようだ。どこも交通量少ないながらしっかり舗装された快速ルートで走りやすい。
途中お昼をとりつつ、須我神社から1時間少しで須佐神社へ。気持ちよくこちらも素戔嗚尊をお祀りした神社で自らの名前を名付けた本宮という。今年遷宮されるとのこと。道路を挟んで相対すように天照社が屹立し天照大神が祀られているのは珍しい。
西へ西へ。島根県の中央にそびえる三瓶山を通過。やまなみハイウェイのミニ版といった趣き。次いで物部神社へ。蘇我氏に敗れた物部氏の初代を祀る神社。石見一宮。境内では子供が鬼ごっこしていて微笑ましい。参拝の仕方や神様に失礼など、儀礼にとらわれることの無意味さを感じてしまう。神馬像は何とパーソロン号がモデルとなっていた。
本日最後の訪問地である石見銀山へ。到着したのは15時過ぎ。世界遺産センターにある展示室を訪問。鉱山町の風景は天空の城ラピュタを思い出す。当時日本の銀が世界の三分の一を占めていたという事実はまさに黄金の国ジパング。
本日の訪問地はここまで。16時過ぎ石見銀山を後にして本日の宿泊地である益田へ。2時間半100kmの道程をノンストップで走り抜ける。頑張って辿り着いたトイレ・風呂共用の宿はまるで漫画喫茶のような作りで扉は蛇腹カーテン。衝撃。
本日の走行距離は243.3km。島根の神社8社を巡る旅はお腹いっぱい。
四日目 ------------------------------------------------------
三年前の正月ツーリング(2022新春)で死ぬ思いをした国道191号をリベンジ。道中あの凍りついた路面を思い出しながら走る。聖湖は垢抜けないダム湖でガッカリ。三段峡はじっくり時間を掛けないと見ることが出来ない感じだったのでスルー。
安芸太田から国道433号にて三次へ。下調べなしで走った433号はなかなかの酷道で、標高こそ高くないがガードレールのない極細道かつ路肩に用水溝あり。バイクだからいいけど車で迷い込んだらアウトだろ。また走っているとそこここで「神楽」の文字。北広島町には出雲地方で生まれた「石見系神楽」が伝わり、伝統芸能・娯楽として広まったそうだ。
三次市にて「もののけミュージアム」訪問。あまり期待せずに立ち寄ったが、狭い展示室にぎっしりと資料が展示され興味深かった。企画展示された幻獣展も内容が豪華で見応えがあった。まさか人魚のミイラの現物を見れるとは。地方の展示館も侮れない。姿を絵に描いて貼ると病から逃れられるという話が幾つもある。元は同じ寓話だったのか。
鬼・鵺・大百足・土蜘蛛退治の物語。稲生物怪録。
広島県から再び島根へ北上。たたら製鉄を展示している「鉄の歴史村」へ。その中でも当時のたたら場が現存している菅谷たたら山内へ。もののけ姫にも出てきた「たたら製鉄」がどんな風に行われていたのかを体感。歳を重ねても新しく知ることばかり。
ここから昨日以上に過酷な旅路。津山の宿舎まで3時間半160kmの道程。14:30の出発。夕方から雨の予報が出ているのでノンストップで走り抜けた。ラッキーなことに快速路ばかりで時間短縮。走行中小説について考える。「死に方」「人生」についての様式。金持神社?調べると「鳥取県日野郡日野町金持」という場所という。
17:30には津山到着。図らずも初日の湯原ICすぐそばまで帰ってきたことになる。
今日はよく走って走行距離394.2km。
五日目 ------------------------------------------------------
今日は帰るだけ。ゴールデンウィークの中日なので渋滞は心配ないだろうと軽く考えていたが、高槻~大津で20kmを超える渋滞。このボトルネック渋滞は新名神が開通するまで無くならないだろう。
9:00出発。津山IC~勝央SA(お土産、金太郎終焉の地)~赤松PA(渋滞とルートの確認)~高槻JCTから大津SA前まで大渋滞~土山SA(給油と休憩:長篠設楽原付近で事故渋滞。東名にて躱すか検討していたが、付近へ着く頃に渋滞解消された)~駿河湾沼津SA(給油:給油ランプ点滅して50kmほど走る。給油量10Lなのでまだ余裕だった。最悪なことに大井松田~御殿場間で事故渋滞発生。毎度のことながらイラッとする)~足柄SA(休憩)~17:00足柄SIC
小山市街を通って渋滞をすり抜けるも246号も大渋滞。途中グーグルナビが示した沼津で降りて箱根を越えるルートの方が断然早かったな。まあ無事帰宅できて何より体中クタクタだわ。
本日の走行距離588.1km。GW島根ツーリング総走行距離2,219.3km。走ったなー!