2024年9月29日日曜日

ビートルジュース ビートルジュース

  ティム・バートンのコメディホラー「ビートルジュース」の続編、「ビートルジュース ビートルジュース」を観に行ってきた。

 ここ最近ある何年振りかのまさかの続編(ゴーストバスターズ、トップガンなど)と似たような展開で、前作のオリジナルメンバーとその子供の愛憎劇という物語。自然とファミリー向けのお話しとなるので営業しやすいためか。続編としては作りやすいのだろうが、ありがちな展開(最初仲たがいしていた親子が仲直りする)に終始するので面白くない。

 序盤から中盤にかけて母娘のスレ違いという展開。ハチャメチャな前作と比べて人間ドラマ中心なのでイマイチと思いつつ見ていたが、ビートルジュースが復活し「あの世」へと舞台が移るあたりから不条理な展開が増えてきて面白くなる。
 最期は新キャラとして登場した敵役「ドロレス」「ジェレミー」をあっさり退場させ、あくまでビートルジュース中心に話が進むのが潔い(つーか、二人のエピソードいらなかったんじゃないの?レベル)。
 終わってみれば面白かったなと満足。本国ではトランスフォーマーを抑え、三週連続全米一位と異例の大ヒットとのこと。

 ただし前作との比較は難しく、あくまで当時を懐かしんで楽しむ続編。前作のハチャメチャ度、家の周りにサンドワーム、歩き出す前衛美術品などなど、何でこんなことを思いつくのだろう?という製作者のぶっとび具合は奇跡。
 今作に理解不能な展開はなく、バナナボートの件やあの世のビジュアルは前作を踏襲しているだけだし、ソウルトレインや出産シーンはストレートで笑えない。

 モニカ・ベルッチ、ウィリアム・デフォー、ダニー・デビートといった往年のベテランキャスト出演は、新進気鋭の若手監督の才能を買ってというわけでもなく意味不明。しかも必然性のある登場理由がない。
 一方前作で一番輝いていたジーナ・デイビスが登場しないのは仕方ないとはいえ残念。歳をとったウィノナ・ライダーの見た目は割と頑張っていたものの、足腰がダメなのか走り回るシーンは痛々しかった。
 代わりに娘役を演じたジェナ・オルテガがかわいかったのと、引き続き母役を演じたキャサリン・オハラの顔芸は素晴らしく衰え知らず。

2024年9月9日月曜日

エイリアン:ロムルス

  エイリアンシリーズの最新作「エイリアン:ロムルス」を観に行った。コロナワールド小田原にて鑑賞。会員権が切れていたので再加入。1200円のサービスチケットがもらえたのでさっそく使用した。
 「エイリアン:”ロムルス”」とは何ぞや?と思ったら、ローマ帝国建国神話に登場する双子の一人で、狼に育てられたという逸話を持つ。壮大なサーガの幕開けか?と思ったが、舞台となる宇宙船の名前だった。

 最近のエイリアンシリーズと言えば、開祖であるリドリー・スコットが「プロメテウス」「エイリアン・コヴェナント」という斜め上の展開で観客数が激減。シリーズ滅亡の危機を迎えていた。
 なお調べてみたらエイリアンシリーズ(AVP含む)は米国内での興行が良かったのが「1」「2」くらいで他はトントンか爆死。確かに陰湿な展開とキャラクターなので元来メジャーヒットは難しい作品。
 そんなこともあって今作は何度か聞いた「原点回帰」を標榜。舞台を第一作と二作の間としたことで古来のファンをニヤリとさせるオマージュもたっぷり盛り込んだ。

 開始からなかなかエイリアンが登場しないのは第一作を踏襲したか。やっと現れたフェイスハガーが大群なれど襲い方がヌルく、結局取りつかれたのがポリコレ要員というのも何だかなー。
 その後はルールのあるアクションゲームのような展開。グロ表現は若干あれど、ホラー、ミステリー要素が皆無。閉鎖空間に閉じ込められ、少しづつ追い詰められていくというシリーズ独特の恐怖演出がなかったからか。
 室温を体温に合わせフェイスハガーからステルスするというシーンも、先にフェイスハガーの大群から襲われるというシーンがあったので二番煎じに感じた。
 そんな展開ながら、これはと思えるシーンもあり、「エイリアン=酸の血液」という脅威を「無重力」を利用して解決するのは良かった。特に重力に関して序盤から伏線を張っていたので、ここに持ってきたか!と大いに得心した。
 他、オマージュシーンは幾つもあったが、少しやり過ぎた感。媚びを売り過ぎ。好きな人はいいんでしょうけど、「これをやりたかった」という監督からのメッセージが伝わらなくて残念。

 ラストは第四作のニューボーンエイリアンを思い出させた。せっかく原点回帰したのだからゼノモーフを推すべきだったのでは?何かコレジャナイ感。肝心のゼノモーフも出番は少なめだったから猶更。
 つまらない映画ではなかったけれど及第点。そつがない秀作というか前評判の高さの割に推せる点が少なかった。賛否両論だったが狂気を感じたプロメテウス二部作や、興収的には撃沈だったが自分は好きな「4」に比べると凡作。