筒井康隆原作の「敵」を観て来た。
鑑賞のきっかけは、馬場康夫監督によるYoutubeチャネル「ホイチョイ的映画生活」で取り上げられた為。広告や予告を見た記憶がなく、原作が筒井康隆でなければ観なかったであろう作品。
原作は断筆宣言から復帰してすぐくらいに発表された記憶があり、老いと生の話しということだったが、当時の自分にはピンとこなかった。むしろ「敵」とされるものが突如あらわれる辺りが、筒井小説によくあるドタバタの仕掛け程度にしか理解していなかった。
映画ではこの辺りの解釈がうまくされ、理解力の足りない自分でも「敵」とは「老い」であり「人生の末路」であることがわかる。そこには経済的な問題、収まらぬ欲望、過去の栄光とプライドなどが混在して襲い掛かってくる。
モノクロームで表現されたことで逆に現実感と主人公の孤独が強調され、演ずる長塚京三もフランス文学の元大学教授という役にはまっていた。脇役の元教え子瀧内公美が魅力的だがクラブで出会う女学生河合優実の隠れ巨乳が良き。
暗喩、メタファー、伏線などをあちこちに張って深読みや想像の楽しさをちりばめている割に、映画オリジナルのエピローグにて主人公の死を明確にしたのは、本編ストーリーはわかりやすくしようとしたのか。
最後はホラータッチで締めくくられ、ニヤリとさせられたのも良い。彼はいつからあの境遇だったのだろう?
小説をもう一度読んでみたくなる魅力をもつ作品だった。
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