オリジナルのゴーストバスターズは大好きで、仲間たちを語らって自主映画を撮影してしまったほど。また「3G」決戦とうたわれた中では一番内容不明なPRを行っていた記憶があり、そこもまた「知る人ぞ知る映画=自分だけの宝物」感に浸れたものだ。
その後「2」が作られたものの原作ほどのムーブメントは起きず、長きの沈黙を続けていたが海外ではゴーストバスターズ3と言えるくらいのクオリティをほこるゲーム(ゴーストバスターズ:アーケード)も発売され、海外版を遊んだものの当然翻訳されておらず残念に思ったものだ。
ちょうどそのころ実写でもゴーストバスターズの続編が撮影されるなんて話が持ち上がり、年老いたオリジナルメンバーから若い隊員にバトンタッチするストーリーと聞いていたがそのままお流れ。しばし忘れていたころに今作が登場となった。
今回は完全リブート作。ビル・マーレー始めとするオリジナルメンバーはゲスト出演程度。しかも新しいゴーストバスターズはみな女性というオリジナルファンには「?」マークのつく設定。劇場へ足を運ぼうとしつつも期待が持てず、せめてBDでも買おうかと思ったがそれも二の足を踏んでいたが、今回の骨折もあり動画配信にて鑑賞することになった。
感想としては悪くない映画だった。しかしオリジナルは偉大過ぎたと言わざるを得ない。原作を踏襲しながら、時折ファンがニヤッとしてしまうようなリスペクトを含めつつゴーストバスターズが結成されるのだが、ここまでが長い。キャラクターを立てるためにバックボーンを説明しなければならなかったことはわかるのだが、もうゴーストバスターズ設立までの面倒くさいのはオリジナルで散々見てるからいいよてな具合だった。
その分結成後は乗りも良く、相変わらず昔からのファンを大事にしているようなネタ、シーンが満載で十分に満足できたし、丁寧にキャラクターを描いたからこそ面白さも増している。
ただしオリジナルメンバーの独特な存在感にはかなわなかった。これは「ゴーストバスターズ=科学者がお化け退治をするお話」であり、真面目なSF映画として作ることもできたし、おそらくダン・エイクロイドはそうしたものを目指そうとしていたようだが、「お化け話なんて馬鹿らしいでしょ?」とでも言わんばかりに斜に構えた演技をするビル・マーレーがシリアス感をぶち壊す。この軽い感じが80年代という時代に即していて、名作でもコメディでもない独特の立ち位置、カルチャーとなった。そしてオリジナルのその雰囲気は本人たちも再び作ることは出来なかったから「2」はイマイチで「3」はお流れになったのだろう。ましてや無関係の女性メンバーでは、である。
製作者のオリジナルに対する敬意は十分汲み取れたし、女性隊員の個性もなかなか良かった。馬鹿マッチョ始めとするステロタイプなギャグは苦笑しながら笑えたし、悪い映画じゃない。しかしオリジナルの「ゴーストバスターズ」は誰にも、本人たちにも真似できない「カルチャー」だった。これを昔一世を風靡した一映画作品程度に見立ててリブートを仕掛けても、それは叶わないのは当然であった。マーケティングありきのソニーピクチャーズらしくはある。
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