2019年12月1日日曜日

ドクタースリープ

 映画の日三本立ての第二作品は「ドクタースリープ」。スタンリーキューブリック監督の名作ホラー「シャイニング」の続編。なんで今更シャイニングという気がしたが、数年前にスティーブンキングが小説を発表していたらしい。

 お話として綺麗にまとまっていた「シャイニング」の続きをどうやって作るのかと思っていたら、例のホテルは導入部だけとして新しい別の物語が中心となる。吸血鬼のような化け物が”シャイニング”能力を持つ子供を襲うというストーリー。
 続きものではなくて、同じ世界観を有する別の話しなのね、と思っていたら、結局最後はホテルへと戻って決着をつける・・・のだが、きれいにまとまっている感じはしない。無理やりここを終着点にした感じでしっくりこない。
 前作の名シーンがカットインされるのも、まるでお化け屋敷を探検しているかのようで怖さはない。双子の姉妹も、血のエレベーターも、ハイハイこれねってなもんである。

 捕まえた子供を虐待して、口から洩れる「生気」を糧とする化け物という設定はいいし、キング原作ということもありリアリティも感じられる。しかしあっさりライフルで殺されてしまうのは肩透かし。
 特にわざわざ1エピソードを使って語られた15歳の少女の化け物も、こんなもんか程度の見せ場で終わる。化け物の首長であるローズ以外の見せ場が無さすぎる。
 わざわざ語ったエピソードと言えば、ダニーが「ドクタースリープ」と呼ばれるようになるストーリーも、その伏線が使用されることもなく無意味に思える。

 キングのホラーにしては後味の悪い結末になることもなく、これはこれでよくまとまっているのだろうが、名作の続編に相応しいのかは微妙だし、何のために作ったのかよく分からない気がする。
 キューブリックの映画版に対し不満を感じ、原作者としてはホテルの悲劇の原因は悪霊たちにあったということを改めて訴えたかったのか。150分という長時間の映画にしては主題がまとまっておらず、面白かったとは思えず。

 翻ってローズとアブラの対決シーンは良く、長生きで頭も良いローズに対して何の知識もないアブラが才能だけで撃退するあたりも面白い。ビジョンを元にダニーが野球少年の死体を掘り起こすエピソードもホラー感が素晴らしい。こうした演出と物語に関してはさすがスティーブン・キング原作。続編だからとホテルに拘らなければ良かったのに。
 主演がユアン・マクレガーだからというわけではないが、ルークやアナキンを指導するオビワンのような役回りとし、いっそアブラとローズの物語にしてしまった方がすっきりしていて良かったのではないか。

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