八王子市夢美術館にて「王立宇宙軍 オネアミスの翼展」が開催。かねてより行こう行こうと思いつつ、最終日前日となってやっと訪問。エヴァンゲリオンで有名なガイナックスの処女作である「王立宇宙軍」の製作過程における素材を展示している。
「王立宇宙軍 オネアミスの翼」。1987年公開。当時自分はまだ学生。1970年代における「宇宙戦艦ヤマト」から起こったSFアニメブームが80年代初頭の「機動戦士ガンダム」で子供を巻き込み、以下「風の谷のナウシカ」「幻魔大戦」「AKIRA」といったアニメ映画ブームが起こっていた80年代における一作。
個人的には製作配給がバンダイということで、プラモデルを売るためという商魂が見え隠れしていて第一印象が好ましくなかった。原作漫画や小説がなかったことからストーリーを理解していなかったこともある。
見てもいないのに否定的な自分に対し、当時在籍していたの部活の先輩曰く「賛否両論あれど、物作りに携わったものであればシンパシーを感じるだろう」と肯定的だったのが印象的。勝手な印象で思い込みをしていた自分を恥じた。
後年やっとビデオで視聴し感動。DVDを購入するまでに至る。エヴァンゲリオンは面白いと思えど同時代的シンパシーを感じえなかったが、この作品と続く「トップをねらえ!」は感動できた。
会場入ってすぐに当時の山賀監督直筆による製作メモが展示されていた。
今で言う厨二病としか言えない痛いもの。しかし自分にも身に覚えがあるような文章。そうそうこのくらいの時代は理想と現実のギャップの中で自分は何をすべきか、世の中とは何ぞやなんて真剣に考えてたものだし、それを表現したいと思っていたものだ。
外野はそれを笑い飛ばすことも出来る。しかし純粋に突き詰めて世間に突きつけた者もいる。どちらもそう違いは無かっただろうに。自分だってそれに近い道を歩んだこともあったが挫折して気が付けば遠く離れた世界を歩んでいる。それについて後悔はないけれど、もしもの世界を思うことはある。仕事で調布のガイナックスを訪問することもあったっけ。
昔の作品から当時の自分を想起させられてしまった。
この作品は一見もしもの地球を描いているように見えるが、実は地球とは別の世界を構築している。そんな異世界を形作る言語や文化を紹介しつつ、作品がどのように作られていったのかについて当時の資料が展示されていた。
家に帰り「王立宇宙軍」を改めて鑑賞する。いつも思うが青臭い映画だ。言いたいことが空回りしてエンターテインメントとして成立していないと感じる。この作品を作るための途方もない設定や原画を見ても宮崎駿一人が想像する異世界に及ばない。
しかし、シロツグとリイクニのすれ違いや理想と現実のギャップ、ささいなきっかけが大きく世間を動かしてしまうこと等々。数々のエピソードは等身大で描かれているだけに現実感があり実感できる。登場人物の苦悩が製作陣のそれと直結している。
そしてそれを共感できるようになったのも、10代の頃と違い自分も同じような思いや経験をし、歳をとったからなのだろう。
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