思っていた以上にシートは動き、煙やら水、フラッシュなどの演出も頻繁にあり刺激的。ただし映画を鑑賞するというより、遊園地などのアトラクションに近いように思えた。一度体験すればもういいかな、というような。通常料金で入るとかなり高いというのもネック。
通常のシアターをさらに向上させたものとしては、やはりアイマックスシアターがダントツだなと思った次第。
シン・ゴジラは当然ネタバレ防ぐためにまったく情報をカットして鑑賞。観終った感想としては84ゴジラと似ていたな、というもの。つまらなくはなかったし、東日本大震災以降続く天災に見舞われた日本。ゴジラという史上最大の災厄を天災のメタファーとして、復興していくというメッセージも伝わった。
敗戦国にして唯一の被爆国たる日本が、水爆実験にて再び漁船が被爆するという不幸にあった時にゴジラが生まれたという意義、メッセージと同様の主張を感ずる。
東日本大震災にて福島原発における核物質飛散という事故に対して、東宝がゴジラを通して何かを訴えるといった行動を取れなかったことに対して不満を感じていたが、今作はゴジラ映画でスルーされがちな放射能という問題を正面からとらえていることもあり、前述の復興への強い気持ちと相まって良い作品に仕上がったと思う。
また84ゴジラと似ているなと思った。84ゴジラが原点回帰、初代を意識した結果、ああしたものが出来上がったのだが、今回のゴジラも時代背景に違いはあれど、同じような経緯、原点回帰を煮詰めた結果、似たようなものが出来上がったというのは興味深い。
実際制作側も意識していたと思われ、核ミサイルの発射に対する、
84版「ニューヨークやモスクワに核を撃てるか?と言ったら(発射の中止を)納得してくれた」
シン版「たとえニューヨークでも(核ミサイル発射という)決定は変わらない」
なんてセリフにもそれが伺えた。これは完全に84年版に対するオマージュだよね。
今回のゴジラを見終えて初代、84年版をDVDにて再鑑賞したのだが、これまでイマイチだと思っていた84年版が割と良い作品に思えた。沢口靖子と武田鉄矢が台無しにしてるが。
予算の都合もあり、ゴジラによる破壊シーンや自衛隊との戦闘シーンは控えめ。主に政府関係者が硬直した官僚社会の中で非常事態にどうやって対応するかと言うドラマが中心。これ自分ら大人が観たら見応えはあるが、子供にはどう映るのだろうね。そうしたエンターテインメント作品としてはギャレゴジが一枚も二枚も上だった。
あと、最後の最後になってゴジラの放射能は半減期が3年とかいうセリフ。これは必要だったのか?
しかしこうした真面目なゴジラ。空想科学映画としてのゴジラを求める層が平成VSシリーズや続くミレニアムシリーズに対し苦々しい思いを持っていたとしたら、これらに対するアンチテーゼとしてありだったと思うし、日本人にしか撮れないゴジラであることは間違いなかろう。
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