アカデミー賞を受賞したクリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」を観て来た。「原爆の父」と呼ばれるロバート・オッペンハイマーを題材とした伝記的作品。
オッペンハイマーに関する知識がなく、ノーラン監督特有の時系列をごちゃごちゃにした展開から序盤は戸惑うも、モノクロとカラーを使い分けて見やすいよう心掛けている。
「マンハッタン計画」が始動するあたりからはストーリーもわかりやすくなってくる。
国内上映が延期される原因となった広島・長崎への原爆投下に関する表現不足。直接的な爆心地の有り様は描かれず、皮膚がただれた女性や炭化した死体を心象シーンとして申し訳程度に映すのみ。その後、オッペンハイマー博士が破壊兵器を産み出したことへの後悔を口にするのであれば、もっとその悲惨さを訴えるべきか。
ただし映像表現に制限のなくなった現代で、リアルな原爆投下シーンを描くのは、スピルバーグの「プライベートライアン」におけるノルマンディ上陸シーンのように悪趣味になってしまったのではないか?
薄気味悪いホラー表現を野次馬的に見たかったのか?そう自問した時、この程度で良かったように思え、広島・長崎の悲惨さを訴えるのであれば直接原爆を描いた反戦映画として「はだしのゲン」を作るべき。そう考えればこの映画における原爆の扱いは妥当なもの。
トリニティ実験からの赤狩り、公聴会あたりから再びわかりにくく…。洋画特有の登場人物の多さと、これ誰だっけ?状態が発生してしまい、物語を追うので精一杯。このわかりにくさでよくアカデミー賞とれたなぁと思ってしまった。
0 件のコメント:
コメントを投稿