2022年2月15日火曜日

大怪獣のあとしまつ

 「大怪獣のあとしまつ」を観た。ゴジラのような怪獣が倒され、その死体をどうやって処理するのかというストーリー。柳田理科雄の「空想科学読本」で取り上げられそうな題材。斜に構えた特撮ファンなら考えつきそうなテーマで、奇抜なアイデアという感じではない。
 怪獣退治のアクションシーンはほどほどに、それ以外の登場人物が織りなす物語でストーリーを進めるというのは「大怪獣東京に現る」にも似てる。内容がつまらないという辺りもよく似ていた。

 今回も前情報を仕入れないようにしていたが、ネットでは酷評続出などの悪評を見掛けていた。前述の「大怪獣東京に現る」も題材に比べて実際の映画はつまらなく、そんな感じなんだろうなと思いつつ映画館へ向かった。
 つまらない理由は明らかでギャグがことごとく滑っている。真面目にやりたいのかギャグにしたいのか中途半端。また実写でやると嘘くさい表現(パニックになった官房長官が走り回るとか)が演出されている辺りも乗り切れない。

 前評判通りつまらない映画だと眠気を感じ始めたが、工場の社長が登場した辺りで製作者の意図が理解できた。社長の名前が「八見雲=やみくも」という馬鹿馬鹿しさに、まるで筒井康隆のドタバタ小説を思い出す。ああ、そうか。ナンセンスなスラップステッィックコメディにしたかったのねと全てを納得。以後、映画としての演出を一切楽しもうとせず、筒井小説風を読んでいるんだと脳内変換したら面白さが理解できた。

 しかしこの作品は「空想科学読本」のようにリアリティを追及して作るべきだった。恐らくシン・ゴジラを楽しんだような人たちがこの作品を観て酷評をしているのだろうが、彼らが求めていたのは庵野作品に見られる程度の真面目さ、リアルさだったからだ。
 あるいは今作のようにギャグ映画としたかったのであれば、変に人気俳優や実力派俳優を集めず、芸人にやらせれば良かったと思う。昔のひょうきん族やゴーストバスターズなどのように。

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