「週刊ゴジラをつくる」完成に気を良くして、ゴジラ映画を観ることにした。シリーズは基本的に全部観ていると思っていたが、アニメ版三部作はまだ見ていないことに気付く。さっそく三部作まとめてレンタルし、一気に視聴する。まあなかなか悪くない作品だったな。というかむしろ面白かった。
このアニメ版ゴジラは社会現象にもなった「シン・ゴジラ」に続く劇場作品。低調なミレニアムシリーズがファイナルウォーズで止めを刺されて国内ゴジラは休眠。庵野秀明によって奇跡の復活をした後、まさかのアニメ化ということで物議を醸し出していた。しかも宣材ポスターを見る限り「SFモノ?」となれば不安でしかない。
結果は非難轟々、興行収益ワースト連発と悲惨な結果となる。
自分はアニメゴジラを観るために劇場にまで出向くほどのマニアではないのでスルー。ストーリーバレを避けて敢えて詳細を確認しなかったものの、良い評判が挙がっていないのは、さもありなんと思った。
しかし今回レンタルで三部作をまとめて見た所、SF映画として見ごたえのある作品だと思った。ゴジラの災厄によって宇宙へ逃げ出した人類が再び地球へ戻った時、二万年の時が経っているということ。ゴジラを倒すための覚悟=人間性の放棄。宗教と終末論=定められた滅び等々。
まあ部分的に見ればよくある話(テーゼ)であり、この手の物語に詳しい人であれば元ネタがすぐに思いつくだろう。この話を「ゴジラ」映画でやる意味はあるのか?というのも正論だと思う。迷いの多い主人公というのはステロタイプだし、異星人の転向は展開がバレバレで驚くべきところはない。ご都合主義の原住民とか。
しかし、それでも、上で挙げたテーゼについて真摯に考えているのが伝わり、結論の出ない問いに対して作者なりの主張が心に響いた。
視聴後ネットで感想を調べてみると、批判の多くは「ゴジラ」映画としての定番が守られていないこと。つまり怪獣プロレスが無いということ。楽しいのかね、ゴジラと怪獣の戦闘シーンて。「ゴジラ対メガロ」なんかよりよっぽど面白いし、考えて作られた映画だと思うが。
今作は正当なゴジラシリーズというよりは、昔発行された宝島社「ゴジラアンソロジーコミック」の一作のようだ。劇場版、しかも三部作でやるほどの内容かと言われればその通りかもしれない。映画館まで足を運んだマニアの皆さんはご苦労さん。
しかしゴジラ映画というのは初代からチャンピオン祭り時代、平成VS、ミレニアムといろんなシリーズがあって、ゴジラの立ち位置も内容も作品によってバラバラ。これぞゴジラなんてないって自分は考える。
同様に批判の多いトライスター版ゴジラも好きな自分としては、今回のアニメ版ゴジラはあり。ゴジラマニアになれない所以。