本公開から一ヶ月ほど遅ればせながら、当田舎でも「死霊のはらわた」が公開された。21:30からのレイトショーオンリーではあるが、さっそく鑑賞することに。なお大きめのスクリーンなれど観客は俺一人。
オリジナルの「死霊のはらわた」は敬愛するサム・ライミ監督の初監督作品。この映画が公開されたときはまだ子供だったが、とある日学校で・・・
友「おい、この映画怖そうじゃない?」
俺「ああ軽い軽い。こんなの全然怖くないよ」
友「じゃあ今度行こうぜ!」
俺「お、おう(マジカヨ!)」
などと、何故か大見得きったばかりに劇場で鑑賞。しばらくの間、夜中すき間を見る度に死霊の顔を思い出すというトラウマとなった。そんな映画がリメイクされたとあって、見逃すわけにはいかなかった。
映画のリメイクは大抵失敗に終わるケースが多い。本編スタッフが作った続編ですら転けるのに、別スタッフがリメイクをしたところで、本来持つ味やら面白さなどをそのまま残すのは難しいだろう。仮に元作に忠実な作りをした所で、だったらオリジナルでいいじゃんとなるし。はなから分が悪い勝負なのである。それはわかっている。
わかってはいるが、元々低予算で作られたとして有名な映画だったので、現代の技術で作り直されたら、怖さは倍増するのだろうか?という興味があった。
ストーリーは基本的にオリジナル通りに展開する。各キャラクターの背景描写が付け加えられ、人間関係が少し深くなっている。
とは言えそれは主人公兄妹だけで、友人や恋人の描写が放置なのは片手落ちか。ゴア表現は技術の進歩か予算の関係か、リアルで痛みを伴う演出となっており、なかなかの出来映え。ここは評価できた。
残念なのが死霊の演出。
オリジナルではケタケタ笑いながら人間と死霊がくるくると入れ替わったり、死んだふりして騙したりといったあたりが恐ろしくもあり、笑える所だった。
しかし今回は普通に(という言い方も変だが)襲って来るのみ。さらに白目ではなくなり、死霊というより悪魔に取り憑かれたリーガン(エクソシスト)のような感じなのが残念。リアルさ重視ということなんだろうが、死霊のはらわた風味は消え去った。
そして最後の展開。首をひねらざるを得ないっていうか・・・。何者かわからないものの視線がハイスピードで襲ってくる!というのが、何が起こったんだろうという想像を喚起させて良かったのだが、
実体化した「彼」(といいつつ彼女)が出てしまっては恐怖も薄れる。しかもそれまで出ていた死霊とまったく同じだし。
そして存在感が薄めだった兄貴から妹へ主役交代というのも何だかなぁ。
妹は真っ先に死霊に取り憑かれていたから感情移入できないし、生き埋めした瞬間に火傷も切り裂かれた舌も治って、五体満足になってるし。
もっともこれも、そのままリメイクしてはつまらないから、オリジナルを知っている人へのちょっとしたサプライズということなんだろうけど、おそらく諸手で拍手!というオリジナルのファンはいないだろうね。
総じて。オリジナルのファンは若きライミ監督の鬼気迫る演出の数々と、ブルース・キャンベルの怪演こそが「死霊のはらわた」の肝であったと思われ、今作にはそのどれもが入っていないのでガッカリ。
ただしストーリーや特殊技術に関しては今風になっているので駄作ってほどじゃない。むしろオリジナルを知らなければ充分に怖いホラーなんじゃないかって所だった。
わかっていたけど、リメイク作品にありがちな感想になっちまったな。
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